この記事の要点
- 令和7年度の社労士試験合格率は5.47%で、5〜7%台の難関国家資格です(出典:厚生労働省)
- 勤務社労士の平均年収は460.3万円が実態で、700万円超という数値は統計区分変更による誤解です
- 開業社労士の売上中央値は550万円で、年間売上1,000万円未満が全体の60.5%を占めます
- 売上の71.9%は顧問契約が占め、コンサルティング業務へのシフトが年収の分岐点になります
- 女性合格者は例年約38〜39%と高く、他士業より男女間の年収差が小さい傾向があります
社会保険労務士(社労士)の年収について「平均773万円」「平均年収1,000万円超」といった数字がインターネット上で見られますが、これは厚生労働省の統計区分が変更された結果生じた誤解です。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で社労士が単独の職種として集計されていた最後の年である令和元年(2019年)の勤務社労士の平均年収は460万3,400円でした。試験の合格率は令和7年度で5.47%と難関である一方、開業後に得られる収入は顧客獲得力によって大きく左右され、全国社会保険労務士会連合会の調査では開業社労士の売上中央値は550万円にとどまっています。
この記事では、厚生労働省の公的統計と、全国社会保険労務士会連合会が2024年に実施した「2024年度社労士実態調査」(登録者45,401人中25,408人が回答、有効回答率56.0%)のデータのみを根拠に、社労士試験の難易度、年収の実態、開業後のキャリアパス、そして知られていない制度上の誤解を整理します。
なお、年収や売上の実態は事務所の立地、専門分野、営業力といった個別の事情によって大きく異なります。以下で紹介する数値はあくまで公的統計から読み取れる全体傾向であり、将来の収入を保証するものではない点にご留意ください。
社労士試験の合格率は何%?直近の推移
社労士試験の合格率は例年5%から7%程度の低水準で推移しており、国家資格の中でも難関の部類に位置付けられています。過去15年間で最も低かったのは平成27年(2015年)度の2.60%で、史上最低の合格率として記録されています。近年の推移を見ると、令和5年度が6.36%、令和6年度が6.89%、そして令和7年度は5.47%となっており、年度によって変動はあるものの厳格な選別が続いています(出典:厚生労働省)。

| 試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年(2025年) | 43,421人 | 2,376人 | 5.47% |
| 令和6年(2024年) | 43,174人 | 2,974人 | 6.89% |
| 令和5年(2023年) | 42,741人 | 2,720人 | 6.36% |
| 令和4年(2022年) | 40,633人 | 2,134人 | 5.25% |
| 令和3年(2021年) | 37,306人 | 2,937人 | 7.87% |
| 平成27年(2015年) | 40,712人 | 1,051人 | 2.60% |
合格者はどんな人?年代・男女比のデータ
受験者・合格者の属性を見ると、社労士試験は新卒者よりも実務経験を積んだ社会人が中心の資格であることがわかります。合格者の年代別構成比では30代が32.5%〜32.6%、40代が27.5%〜29.2%を占め、この2つの年代だけで全体の約6割に達します。20代以下は11.8%〜12.7%にとどまる一方、50代が18.9%、60代以上も8.4%存在しており、セカンドキャリアとしての受審者も一定数含まれています。男女比は男性が61.2%、女性が38.8%です。
| 年代 | 構成比の目安 |
|---|---|
| 20代以下 | 11.8%〜12.7% |
| 30代 | 32.5%〜32.6% |
| 40代 | 27.5%〜29.2% |
| 50代 | 18.9% |
| 60代以上 | 8.4% |
社労士の年収は本当に700万円超?「平均」の罠
求人サイトなどで見かける「社労士の平均年収773万円」といった数値には注意が必要です。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」において、令和元年(2019年)まで社労士は単独の職種区分として集計されており、その年の勤務社労士の平均年収は460万3,400円(平均年齢44.7歳、勤続年数13.4年)でした。男性が484万7,500円、女性が434万円で、一般的な会社員の平均年収と近い水準です。
しかし令和2年(2020年)以降、統計上の職種分類が再編され、社労士は証券アナリストや経営コンサルタントなどと同じ「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」という区分に統合されました。この統合後の集計値は令和2年に747万3,300円、令和3年に1,004万9,200円へと跳ね上がっています。これは経営コンサルタントなど報酬水準の高い他職種が合算された結果であり、社労士単独の実態を示す数値ではありません(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。

| 調査区分 | 年度 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 単独区分(勤務社労士全体) | 令和元年 | 460.3万円 |
| 単独区分(男性) | 令和元年 | 484.8万円 |
| 単独区分(女性) | 令和元年 | 434.0万円 |
| 統合区分(他職種と合算) | 令和2年 | 747.3万円 |
| 統合区分(他職種と合算) | 令和3年 | 1,004.9万円 |
また勤務等社労士の年収分布を見ると、約2割が年収300万円未満、約6割が年収300万〜900万円の範囲に収まっており、勤務先の企業規模や役職によって水準が大きく異なることがうかがえます。
開業社労士の売上、中央値は550万円
開業社労士の収入実態は、全国社会保険労務士会連合会が2024年に登録社労士45,401人を対象に実施し、25,408人から回答を得た「2024年度社労士実態調査」(有効回答率56.0%)から確認できます。1事務所あたりの年間売上は平均で1,657.9万円ですが、中央値は550万円にとどまり、平均値と中央値の間には約3倍の開きがあります。この差は、一部の1億円超の大規模事務所が平均値を押し上げているためで、開業社労士の売上が著しく二極化していることを示しています。

| 年間売上階層 | 構成比 |
|---|---|
| 収入なし | 6.3% |
| 500万円未満 | 36.5% |
| 500万〜1,000万円未満 | 17.7% |
| 1,000万〜2,000万円未満 | 14.5% |
| 2,000万〜5,000万円未満 | 12.7% |
| 5,000万〜1億円未満 | 4.4% |
| 1億円以上 | 2.2% |
年間売上1,000万円未満の開業社労士は、収入なしを含めて全体の60.5%を占めます。一方で1,000万円以上を売り上げる層は3割強存在し、2.2%の事務所は1億円以上の売上を上げています。開業すれば一律に高収入が得られるわけではなく、収入の分布には大きな幅があることが実態調査から読み取れます。
年収1,000万円を超えるカギは「顧問契約」と業務のシフト
開業社労士のビジネスモデルの中心は、企業と継続的に締結する「顧問契約」です。2024年度の実態調査によれば、開業社労士の売上の71.9%は顧問契約によるもので、単発のスポット業務は28.1%にとどまります。1事務所あたりの平均顧問先数は33.2社、中央値は10.0社です。顧問契約は毎月一定額の収入が見込めるストック型のモデルであるため、顧問先を一定数確保できれば事業の安定性は高まります。
ただし、顧問先の新規開拓は容易ではありません。実態調査で開業社労士が挙げた不安・ストレス要素のうち「顧客獲得の難しさ」は63.7%に上り、「専門知識の深さ・広さ」(85.9%)、「責任の重さ」(84.5%)に次ぐ課題となっています。税理士の確定申告や司法書士の登記のような法令上の定期的な独占業務が社労士には相対的に少なく、小規模企業では経営者や総務担当者が手続きを内製化できてしまうことが背景にあります。加えて、クラウド型人事労務ソフトやe-Govの普及により、手続代行(1号・2号業務)の単価は下降傾向にあります。
このため、年収1,000万円超えを目指す上での分岐点は、人事労務コンサルティングや就業規則の作成・改定といった「3号業務」へのシフトにあります。実態調査でも、過去5年間で需要が増えた業務として「労務相談・コンサルティング」(71.5%増)や「各種規程の作成・改定」(66.2%増)が上位に挙がっています。
開業時の年齢も長期的な事業規模に影響します。売上上位25%層のデータでは、30代で開業した社労士は開業5〜9年目で平均売上2,800万円(顧問先数50社、スタッフ数4人)に達する一方、50代で開業した場合の同期間の平均売上は1,000万円(顧問先数20社、スタッフ数1人)にとどまっています。ただし、これは統計上の傾向であり、開業年齢だけで将来の売上が決まるわけではなく、専門分野や地域、営業手法など個別の要因が影響します。
社労士の実務はきつい?助成金審査と法改正対応のリアル
社労士の実務は、華やかなコンサルティングばかりではなく、緻密な作業の積み重ねでもあります。助成金の申請手続きでは、労働局の審査官が提出された出勤簿(タイムカード)と賃金台帳を1分単位、1円単位で突き合わせて審査します。残業代の割増率計算における端数処理の違いや、基本給変更時の割増単価への反映漏れといったわずかな誤りが、数百万円規模の助成金の不支給につながるリスクもあり、社労士には精密な書類確認が求められます。

また、ハラスメントや無断欠勤、不当解雇を巡る労使対立といった場面では、当事者双方の主張を丁寧に聴き取り、労働基準法などの法令に照らして着地点を探る対人対応も欠かせません。加えて、働き方改革関連法や育児・介護休業法の改正など、労働諸法令の改定頻度は高く、実態調査で85.9%の社労士が「必要とされる専門知識の深さや広さ」に不安を感じていると回答しているように、常時のアップデートが実務上の負荷となっています。
社労士は裁判で尋問できる?「補佐人」の権限を正しく理解する
社労士の権限について、「裁判所で弁護士のように相手方を尋問できる」という認識は誤りです。社会保険労務士法第2条の2により、社労士は裁判所において弁護士である訴訟代理人と「ともに出頭」し、「陳述」を行う「補佐人」としての活動が認められています。しかし、証人や当事者への「尋問」は法律上認められておらず、弁護士に代わって単独で法廷に出頭して陳述することもできません。

なお、特別の研修と付記試験を修了した「特定社会保険労務士」は、都道府県労働局の紛争調整委員会などにおける裁判外紛争解決手続(ADR)に限り、目的価額60万円以下の個別労働関係紛争などについて単独で当事者を代理することが可能です。ただし、裁判所における訴訟手続の代理権や尋問権はあくまで弁護士の独占業務であり、社労士の役割は補佐人にとどまります。
女性社労士の割合は?他士業と比べた特徴
社労士業界は、他の難関国家資格と比べて女性の参入率が高いという特徴があります。社労士試験の女性合格者の割合は例年約38%〜39%で推移しており、登録者全体に占める女性比率も35.1%に達しています。
年収面でも、男性勤務社労士の平均年収が約484万〜514万円であるのに対し、女性勤務社労士の平均年収は約434万〜450万円となっており、日本の全職種における男女間の賃金格差と比べると、社労士業界の格差は小さい傾向にあります。人事労務分野は在宅勤務やフレックスタイム制度との相性がよく、結婚・出産・育児といったライフイベントを経てもキャリアを継続しやすい構造があると考えられますが、個々のキャリア形成は本人の働き方や事務所の方針によっても変わります。
まとめ
社労士試験は合格率5%〜6%台で推移する難関国家資格であり、30代・40代の社会人が中心となって受審する実務志向の強い資格です。年収については、「平均700万〜1,000万円」という数値は統計上の分類変更によって生じた誤解であり、厚生労働省の統計で勤務社労士が単独集計されていた最後の年(令和元年)の平均年収は460万3,400円でした。開業社労士の売上も中央値は550万円で、平均値との間に大きな開きがあり、収入は二極化しています。
開業後に収入を伸ばすカギは、売上の71.9%を占める顧問契約の獲得と、手続代行から人事労務コンサルティングなどの3号業務へのシフトです。一方で、助成金申請の精密な書類確認や労使間の調整、頻繁な法改正への対応といった地道な実務も欠かせません。また、社労士が裁判所で担えるのは「補佐人」としての陳述にとどまり、尋問は弁護士の独占業務である点も押さえておきたい制度上のポイントです。
資格取得はキャリアのスタートラインであり、その後の収入や働き方は営業力や専門分野、地域性など個々の事情によって変わります。公的統計が示す実態を踏まえた上で、自分に合ったキャリアパスを検討することが大切です。
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よくある質問
社労士試験の合格率はどのくらいですか?
令和7年度の社労士試験の合格率は5.47%でした。過去15年では平成27年度の2.60%が最低で、近年も5%台から7%台で推移する難関資格です(出典:厚生労働省)。
社労士の平均年収は本当に700万円以上ですか?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査で社労士が単独集計されていた最後の年(令和元年)の勤務社労士の平均年収は460万3,400円でした。令和2年以降の高い数値は他職種と統合された区分によるものです。
開業すればすぐに年収1,000万円を稼げますか?
全国社会保険労務士会連合会の2024年度調査では、開業社労士の売上中央値は550万円で、年間売上1,000万円未満が全体の60.5%を占めます。開業してすぐに高収入を得られるとは限りません。
社労士は裁判で証人に尋問できますか?
社会保険労務士法上、社労士に認められているのは裁判で弁護士に同行する「補佐人」としての陳述のみです。証人や当事者への尋問は弁護士の独占業務であり、社労士には認められていません。
社労士は女性に向いている資格ですか?
個人の適性や働き方によりますが、社労士試験の女性合格者割合は例年約38%〜39%で他の難関資格より高く、男女間の年収差も相対的に小さい傾向が公的統計から確認できます。
次にやること
年収や合格率を把握したら、次は自分の場合の受験コストを具体化する段階です。
- 試験実施団体の公式サイトで、直近の試験日程と受験資格を確認する
- 科目免除の対象になるか(実務経験・他資格の保有)を調べる
- 独学と講座で必要な学習時間がどれだけ変わるか、複数社の資料で比較する
参考にした情報源
うち官公庁・公的機関等の一次資料 2件。数値は各機関の公表時点のものです。
- 社労士の合格率は5~7%?その理由と効率的な勉強のコツを解説! – 生涯学習のユーキャン(u-can.co.jp)
- 【2026年】社労士試験の合格率は5.5%!合格率が低い5つの理由と合格点の推移 – アガルート(agaroot.jp)
- 【最新版】社労士試験の合格率を徹底解説|推移・年代別データと対策 – 楽天市場(rakuten.co.jp)
- 社労士の年収は?「仕事がない」の実態も解説 – 生涯学習のユーキャン(u-can.co.jp)
- 社労士の年収は?男女別・年齢別データや開業して活躍する方法を解説 – スタディング(studying.jp)
- 2024年度社労士実態調査(shakaihokenroumushi.jp)
- 社会保険労務士の年収・給与 – らくらく求人検索(hw-jobs.careermine.jp)
- 社労士(社会保険労務士)とは?仕事内容や年収、試験難易度などを徹底解説! – MS-Japan(jmsc.co.jp)
- 社労士の年収、中央値は?【データで見る】勤務・開業・年代別のリアルな収入実態と1000万円の壁(foresight.jp)
- 社労士は食えないって本当?【2024年データで見る残酷な実態と新規参入者が勝つ方法】 | 東京都港区|会社経営お役立ち情報|社会保険労務士法人ASUMI(asumi.tokyo)
- 社労士が独立し年収1000万円を目指すには?開業後の現実と後悔しないポイントを解説(biz.moneyforward.com)
- 致命的な落とし穴!助成金申請でよくある不支給理由5選(sunoffice-sr.com)
- 4月から育休給付金が”実質”手取り10割に!複雑すぎる制度を社労士がわかりやすく解説!支援拡充も片働き世帯にそびえる≪35万円の壁 – 東洋経済オンライン(toyokeizai.net)
- 社会保険労務士法 択一式の常連 補佐人制度 – みんなの社労士合格塾(sr-rouki.com)
- 4 弁護士と社労士との違い – 神奈川県弁護士会(kanaben.or.jp)
- R4.10.2 R4択一式より『補佐人制度』 – 社会保険労務士合格研究室(syarogo-itonao.jp)
- 6. 補佐人の業務 – 長野県社会保険労務士会(sr-nagano.or.jp)
- 補佐人の業務 | 社労士とは | 全国社会保険労務士会連合会(shakaihokenroumushi.jp)
- 社会保険労務士の年収・給料【2026年最新】平均495万円 – キャリビー(career-be.jp)
- 社労士の平均年収はいくら?実際に稼げるのはこんな社労士だ!|社会保険労務士 – TAC(tac-school.co.jp)
- 社労士開業、AI分析で見えたリアル まず売上500万を狙おう – note(note.com)
- 社会保険労務士は労働審判手続に関与できるか?(roudoumondai.com)
本記事に掲載する年収・待遇等は公表統計に基づく一般的な水準であり、個別の求人条件を保証するものではありません。
本記事は公表資料をもとに作成した一般的な解説です。制度は改正され統計は更新されます。実際の手続き・判断にあたっては所管の官公庁および専門機関の最新情報をご確認ください。詳細は免責事項をご覧ください。
本記事は公的統計等の調査資料を根拠に、AIを利用して作成し、公開前に数値と表現の検査を行っています。作成手順は編集方針とAI生成コンテンツについてに公開しています。最終更新:2026年7月27日


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