この記事の要点
- 転職エージェントの手数料は求人企業が負担し、相場は年収の30〜35%である(出典:厚生労働省)
- 求職者から手数料を徴収することは、職業安定法第32条の3第2項により明確に禁止されている
- リクルートHDの連結利益の67.5%はIndeed等の海外HRテクノロジー事業が稼ぎ出している
- 転職で賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%で増加が上回る(令和6年雇用動向調査)
- 2025年4月施行の改正職業安定法で、手数料率公表とお祝い金の全面禁止が義務化された
転職を考えるとき、エージェントに支払う手数料がどれくらいなのか、その負担が自分の給料に影響するのではないかと不安に感じる方は少なくありません。結論から言うと、有料職業紹介事業者が求人企業から受け取る成功報酬は年収の30〜35%が相場ですが、この費用を負担するのは求人企業であり、求職者本人から手数料を徴収することは職業安定法によって禁止されています。
また、「リクルートは国内の転職エージェント事業で儲けている」というイメージも、決算資料を確認すると実態とは異なります。株式会社リクルートホールディングス(以下、リクルートHD)の連結利益(調整後EBITDA)の67.5%は、IndeedやGlassdoorを傘下に持つ海外中心の「HRテクノロジー事業」が稼ぎ出しており、国内の対面型人材紹介を含む事業の利益構成比は31.1%にとどまります。
この記事では、リクルートHDの有価証券報告書・決算説明資料と、厚生労働省の公的統計をもとに、転職エージェントの手数料の仕組み、業界全体の利益構造、そして2025年4月に施行された改正職業安定法のポイントを整理します。個々の転職活動でどの程度の条件になるかは、職種や紹介会社、契約内容によって異なるため、以下はあくまで統計・制度に基づく全体像として参考にしてください。
転職エージェントの手数料はいくら?年収の30〜35%が相場
有料職業紹介事業(いわゆる転職エージェント)の主な収益源は、求職者の入社が確定した段階で求人企業から支払われる成功報酬です。厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく「届出制手数料」では、手数料率を「年収の30〜35%未満」と設定している事業所が全体の22.8%〜25.2%と最も多く、全体の平均手数料率は20.4%〜20.7%となっています(出典:厚生労働省 人材サービス総合サイト掲載データ)。
厚生労働省の職業紹介事業報告書の集計結果によると、有料職業紹介事業の年間総手数料収入は約9,835億円(対前年度比17.6%増)に達しており、そのうち常用就職に係る手数料収入は約9,136億円(同16.8%増)を占めています。常用就職1件あたりの平均手数料額は約103万円(同10.9%増)であり、1人の採用にかかる単価は高水準で推移しています(出典:厚生労働省 令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果)。
入社後30日以内や90日以内などの早期離職が発生した場合には、徴収した手数料の一定割合(30%〜100%)を求人企業へ返還する返金規定が契約に盛り込まれるのが一般的です。手数料が高く見えても、紹介会社は求職者を獲得するための広告費(CPA・CPL)やコンサルタントの人件費、面談から入社に至るまでの成約率という複数のコストと不確実性を抱えており、収益は決して安定的とは言えない構造になっています。
リクルートHDの利益はどこから?HRテクノロジーが67.5%を稼ぐ構造

2024年3月期のリクルートHD連結決算では、売上収益3兆4,164億円に対し、調整後EBITDAは5,983億円でした。セグメント別に見ると、売上規模では「人材派遣事業」が1兆6,669億円と全体の48.8%を占めて最大ですが、利益面では全く異なる構図になっています。
| セグメント名 | 売上構成比 | 調整後EBITDA構成比 | 調整後EBITDAマージン |
|---|---|---|---|
| HRテクノロジー | 32.9% | 67.5% | 35.9% |
| マッチング&ソリューション | 23.9% | 31.1% | 22.8% |
| 人材派遣 | 48.8% | 16.3% | 5.8% |
(出典:リクルートホールディングス 2024年3月期 決算説明資料)
「リクルートエージェント」等を含むマッチング&ソリューション事業の人材領域単体では、調整後EBITDAマージンは約20.5%にとどまります。一方、IndeedやGlassdoorを含むHRテクノロジー事業は35.9%と高いマージンを維持しており、連結調整後EBITDAの3分の2を単一セグメントが稼ぎ出す構造が確立されています。
なぜIndeedが儲かるのか:限界利益率の違い

この利益率の差の背景には、ビジネスモデルの違いがあります。IndeedやGlassdoorは、求人企業が設定した予算に基づき、求人情報の閲覧数や応募数に応じて広告料が発生する「運用型求人広告」の仕組みを採用しています。システム基盤やアルゴリズム開発の固定費を回収した後は、売上の増加分がそのまま高い限界利益として残るため、35.9%という高マージンが実現しています。
これに対して、国内の転職エージェント事業は、コンサルタントによる面談や条件交渉など、人手を介するプロセスを伴います。1件のマッチングごとに人件費が発生するため、事業規模が拡大しても利益率が大きく伸びにくいという構造的な限界があります。
上場する人材サービス各社を比較しても、採用するビジネスモデルによって利益率には大きな差があります。
| 企業名 | 主要ビジネスモデル | 利益率指標 |
|---|---|---|
| リクルートHD | プラットフォーム+総合人材 | 営業利益率11.8%/EBITDAマージン17.5%(HR Tech単体35.9%) |
| パーソルHD | 人材派遣(主軸)+人材紹介 | 営業利益率4.0% |
| ビジョナル | ダイレクト・スカウト型(ビズリーチ) | 事業利益率約40.0% |
| JAC Recruitment | ハイクラス専門・両面型人材紹介 | 税引前利益率10年平均24.9%〜25.1% |
(出典:各社有価証券報告書・決算説明資料)
人材派遣を主力とするパーソルHDは売上規模が大きい一方で営業利益率は4.0%前後にとどまり、プラットフォーム化された直接採用モデルのビジョナルや、高単価なハイクラス層に特化したJAC Recruitmentは20%台後半〜40%台の高い利益率を示しています。
手数料を払うと自分の給料は減るのか 法律と統計で確認する
転職エージェントの手数料が年収の30〜35%と聞くと、「その分自分の給料が減らされるのではないか」と考える方もいますが、これは制度上成り立ちません。職業安定法第32条の3第2項は「有料職業紹介事業者は、求職者からは手数料を徴収してはならない」と明記しており、一部の特殊な職種を除き、求職者側から費用を徴収することは法律上禁止されています。手数料は求人企業側の採用予算から支払われるものであり、求職者の給与から差し引かれる性質のものではありません。
さらに、成功報酬型モデルの構造上、紹介会社の売上は「決定年収×手数料率」で計算されるため、決定年収が高まるほど紹介会社自身の売上も増えます。この点で、紹介会社が求職者の年収交渉を後押しするインセンティブを持つという見方も成り立ちます。
厚生労働省の令和6年「雇用動向調査」でも、この点は統計上裏付けられています。
| 賃金変動の区分 | 構成比率 |
|---|---|
| 前職と比べて「増加」 | 40.5% |
| 前職と比べて「減少」 | 29.4% |
| 前職と比べて「変わらない」 | 約28〜30% |
(出典:厚生労働省 令和6年「雇用動向調査」結果概要)
前職と比較して賃金が増加した転職入職者の割合は40.5%で、減少した割合(29.4%)を11.1ポイント上回っています。同調査では常用労働者の入職率は14.8%(前年比1.6ポイント低下)、離職率は14.2%(同1.2ポイント低下)で、入職者が離職者を27.8万人上回る入職超過となっています。ただし、これは全体の傾向を示す統計であり、個々の転職で賃金がどう変化するかは職種や経験、交渉状況によって異なる点には注意が必要です。
職種別に見る手数料率と早期離職率
職業の専門性や労働市場の需給によって、手数料率と早期離職率には大きな差があります。厚生労働省の公表資料に基づく主要職種別の実態は以下の通りです。
| 取扱職種分類 | 平均手数料率実績 | 早期離職率実績 |
|---|---|---|
| 経営・金融・保険の専門的職業 | 34.6% | 2.0% |
| 法人・団体管理職員(管理職) | 33.9% | 4.9% |
| 情報処理・通信技術者(SE・IT) | 31.2% | 2.9% |
| 営業の職業 | 31.2% | 5.4% |
| 一般事務、秘書、受付 | 24.1% | 14.4% |
| 保育 | 24.3% | 12.2% |
| 医師 | 22.0% | 3.0% |
| 看護 | 21.6% | 10.5% |
| 介護 | 20.2% | 15.3% |
(出典:厚生労働省 人材サービス総合サイト掲載データ集計公表資料)
経営層や管理職、IT技術者など専門性が高く求人倍率の高い職種では、手数料率が30%を超える一方、早期離職率は2%〜5%程度に抑えられています。一方、一般事務や保育、介護などの領域では手数料率自体は20%台前半とむしろ低いものの、早期離職率は12%〜15%台と高い水準にあります。
医療・介護の手数料は本当に高いのか

医療・介護の現場では、人材紹介の手数料負担が重いという声がしばしば聞かれます。しかし前述の職種別データを見ると、看護の平均手数料率は21.6%、介護は20.2%であり、ITエンジニア(31.2%)や管理職(33.9%)と比べてむしろ低い水準です。手数料率そのものが不当に高いとは、公表されている統計からは読み取れません。
それでもなお医療・介護の現場で費用負担感が強く語られる背景には、「手数料率の高さ」ではなく「早期離職率の高さ」があります。看護は10.5%、介護は15.3%という離職率は、経営・金融職(2.0%)や管理職(4.9%)と比べて明確に高い水準です。慢性的な人手不足が続く職場では、同一のポストに対して短い周期で採用と離職が繰り返され、そのたびに紹介手数料の支払いが発生します。1件あたりの手数料率は低くても、繰り返しの紹介によって事業所側の総額としての費用負担が積み上がっていく構造が、負担感の実態に近いと考えられます。
2025年4月施行の改正職業安定法で何が変わったか

有料職業紹介事業の透明化とトラブル防止を目的として、厚生労働省は職業安定法施行規則および指針を改正しました(令和6年厚生労働省令第138号・告示第318号、令和7年4月1日施行)。主な改正点は次の3つです。
第一に、有料職業紹介事業者は、取扱い職種ごとの「常用就職1件あたりの平均手数料率の実績」を算定し、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」上で公表することが義務付けられました。これにより、求人企業は職種ごとの相場を事前に把握した上で紹介会社を選べるようになります。
第二に、求人の申し込みを受ける際、内定辞退や契約解除に伴う違約金・損害賠償金等の負担条項がある場合、その金額や発生条件、解除条件を書面または再読可能な電子的方法で事前に説明することが義務化されました。口頭説明やWebサイトのURLを示すだけの周知は不適切とされています。
第三に、「転職祝い金」「お祝い金」などの名目で、社会通念上相当な範囲を超える金銭やギフト券等を求職者に提供することが全面的に禁止されました。金銭給付を動機にした安易な転職や、短期間での離職・再転職を抑制するための措置です。
まとめ
転職エージェントの手数料は年収の30〜35%が相場で、年間の市場規模は約9,835億円、1件あたりの平均手数料は約103万円に達します。ただし、この費用を負担するのは求人企業であり、職業安定法第32条の3第2項により、求職者本人から手数料を徴収することは禁止されています。
リクルートHDについても、「国内の転職エージェントで儲けている」というイメージとは異なり、連結利益の67.5%を稼ぎ出しているのはIndeedなどの海外HRテクノロジー事業です。国内の対面型マッチングとプラットフォーム型広告では限界利益率の構造が大きく異なり、この差が各社の利益率の格差にもつながっています。
医療・介護分野の手数料についても、手数料率自体は他の職種より低く、負担感の実態は「早期離職の繰り返し」にあることが統計から見えてきます。2025年4月に施行された改正職業安定法により、手数料率の公表や違約金条項の明示、お祝い金の禁止が義務化されたことで、業界の透明性は一段階進むことになります。もっとも、実際の転職活動における条件や結果は、職種・経験・紹介会社ごとの事情によって異なるため、統計や制度の全体像を踏まえつつ、個別の契約内容は自身でよく確認することが大切です。
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よくある質問
転職エージェントの手数料は求職者が払うのですか?
いいえ。職業安定法第32条の3第2項により、有料職業紹介事業者が求職者本人から手数料を徴収することは禁止されています。手数料は求人企業が採用予算から支払うものです。
リクルートの利益の多くはどの事業が稼いでいますか?
2024年3月期の連結決算では、調整後EBITDAの67.5%をIndeedやGlassdoorを含むHRテクノロジー事業が稼ぎ出しています。国内の対面型人材紹介を含む事業の構成比は31.1%です。
転職すると給料は上がりますか?
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職で賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%でした。ただし結果は職種や経験、交渉状況によって個人差があります。
2025年4月の職業安定法改正で何が変わりましたか?
職種別の平均手数料率の公表義務化、違約金条項の事前明示義務化、そして「お祝い金」の全面禁止という3点が主な柱として、令和7年4月1日に施行されています。求人企業側の透明性向上が目的です。
次にやること
業界の構造を理解したうえで、自分の条件が相場のどこにあるかを確認します。
- 賃金構造基本統計調査で、自分の職種・年齢・地域の水準を確認する
- 現職の労働条件通知書で、割増賃金や手当の計算根拠を確かめる
- 相場観は1社の提示額ではなく、複数の求人情報で確認する
参考にした情報源
うち官公庁・公的機関等の一次資料 8件。数値は各機関の公表時点のものです。
- 【HRog決算解説】株式会社リクルートホールディングスの2025年3月期通期決算から見える人材業界の最新トレンドは?(hrog.net)
- 2024年3 期 第4四半期決算 よくあるご質問 – Recruit Holdings(recruit-holdings.com)
- 株式会社リクルートホールディングス 2024年3月期 通期決算説明 Slide 01 出木場 – Recruit Holdings(recruit-holdings.com)
- 2024年3月期 通期決算説明 – Recruit Holdings(recruit-holdings.com)
- 四半期報告書 – Recruit Holdings(recruit-holdings.com)
- 2025年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結) – Recruit Holdings(recruit-holdings.com)
- 2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) – Recruit Holdings(recruit-holdings.com)
- 当事業年度の事業の状況 | 株式会社リクルートホールディングス 証券コード(6098)(s.srdb.jp)
- II 調査結果の概要 – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 職業紹介事業関係 – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 人材紹介業で得られる「手数料」とは? 相場はどのくらい? 計算方法と必要な知識を解説(cakyujin-navi.com)
- 有料職業紹介事業者の平均手数料率実績公開の義務化 – エキップ社会保険労務士法人(k-hamada.com)
- 職業安定法第32条の13に基づく開示事項|株式会社メドレー(medley.jp)
- 令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報) – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 日本医師会・四病院団体協議会 有料職業紹介事業に関するワーキンググループ報告書 ~医療分(med.or.jp)
- 厚生労働省調査からみる転職入職者の賃金変動状況 – 社会保険労務士法人アドバンス(van.gr.jp)
- 【令和6年「雇用動向調査」の調査結果を公表しました ~入職率、離職率は低下、入職超過率は縮小、転職入職者の賃金は、前職と比べて「増加」した割合が上昇~】 – 宮城県仙台市の行政書士・特定社会保険労務士 へんみ事務所(henmi-adm.jp)
- -令和6年雇用動向調査結果の概況- – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- パーソルホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態 – リサコ(corp-research.jp)
- FY2024 決算説明会 – PERSOL(パーソル)グループ(persol-group.co.jp)
- FY2025/7 通期決算 説明資料 – Visional(visional.inc)
- 会社概要と中長期成長戦略 – JAC Recruitment(ir.jac-recruitment.jp)
- 株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント 統合報告書 2026 – IR情報 – JAC Recruitment(ir.jac-recruitment.jp)
- 会社概要と中長期成長戦略 – IR情報 – JAC Recruitment(ir.jac-recruitment.jp)
- 第32条の3(手数料) – 職業安定法 (職安法) – 迷わない法令データベース(lawzilla.jp)
- 紹介手数料率の実績の公開と違約金規約の明示が必要になります(mhlw.go.jp)
- 募集情報等提供事業者)は新たなルールへの対応が必要です – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 【HRog決算解説】株式会社リクルートホールディングスの2026年3月期第3四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?(hrog.net)
- 2026年3月期通期 決算サマリー – Recruit Holdings(file.recruit-holdings.com)
- ― 令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況 ― – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 職業紹介事業における職種別手数料、離職状況についての資料を公表(厚労省)(kaiketsu-j.com)
- 【HRog決算解説】パーソルホールディングス株式会社の2026年3月期通期決算から見える人材業界の最新トレンドは?(hrog.net)
本記事に掲載する年収・待遇等は公表統計に基づく一般的な水準であり、個別の求人条件を保証するものではありません。
本記事は公表資料をもとに作成した一般的な解説です。制度は改正され統計は更新されます。実際の手続き・判断にあたっては所管の官公庁および専門機関の最新情報をご確認ください。詳細は免責事項をご覧ください。
本記事は公的統計等の調査資料を根拠に、AIを利用して作成し、公開前に数値と表現の検査を行っています。作成手順は編集方針とAI生成コンテンツについてに公開しています。最終更新:2026年7月27日


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