この記事の要点
- 社労士の公的統計上の年収は900万円台ですが、勤務型の実務年収は約486万円にとどまります(出典:厚生労働省)
- 独立開業した士業は最初の1〜2年、年収100万円未満に陥るケースも珍しくないとされています
- 中小企業診断士はコンサル日数100日以上の層で年間売上2,000万円超が約12%に達するとされています
- 司法書士×行政書士、社労士×中小企業診断士など資格の組み合わせ方で収益構造が変わります
社労士やFPの平均年収が「900万円台」と紹介されているのを見たことがある方は多いと思います。しかしこれは公的統計の集計方法に由来する数字であり、資格を取得すればすぐにこの水準に届くわけではありません。実務に近い年収は、社労士(勤務型)で約486万円、FPで400万〜600万円程度が目安です(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和元年)。一方で、資格を組み合わせて業務の入口から手続きの完了までを一貫して受任できる体制を作ると、単体の資格では届きにくい収益構造につながる可能性があるとされています。
この記事では、公的統計に表れる年収の数字と実務の年収相場との違い、独立後に直面しやすいリスク、そして司法書士×行政書士や社労士×中小企業診断士といった資格の組み合わせがなぜ相性が良いとされるのかを、調査データに基づいて整理します。ただし年収や独立の成否は本人の営業力や地域、専門分野の選び方によって大きく変わるため、以下の数字はあくまで目安としてご覧ください。
社労士・FPの「年収900万円」はなぜ実態と乖離するのか
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」や「賃金構造基本統計調査」では、社会保険労務士の平均年収が903.2万〜947万円、ファイナンシャル・プランナーが903万円と公表されています(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和6年、job tag)。しかしこれらの統計区分「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」には、金融機関の管理職やアクチュアリー、大手証券アナリスト、外資系コンサルタントなど、資格そのものとは直接関係のない高年収層が混在しているため、資格単体の実態を示す数字とは言い切れません。
勤務型に限定した令和元年の賃金構造基本統計調査によれば、社労士の実態に近い平均年収は約486万円(月収約40.2万円、年間賞与約84.1万円)にとどまります。FPについても、民間の求人・転職サービスの実務データでは400万〜600万円前後がボリュームゾーンとされています。資格の年収を調べる際は、統計の集計区分がどこまで資格そのものを反映しているかを確認する視点が欠かせません。

資格別に見る年収・難易度・独占業務の比較
司法書士や土地家屋調査士のように独自の統計区分を持つ資格は、法務従事者や測量技術者という枠に集計されるため、社労士・FPほどの数値の歪みは大きくないとされています。ただし、公的統計上の数字と勤務・独立それぞれの実務年収の間には差があります。以下の表は、資格ごとの年収・合格率・学習時間・独占業務の範囲をまとめたものです。
| 資格名 | 公的統計上の平均年収 | 実務年収の目安(勤務/独立) | 合格率 | 学習時間目安 | 独占業務 |
|---|---|---|---|---|---|
| 司法書士 | 981.1万円(job tag法務従事者、令和7年) | 勤務400万〜600万円/独立700万〜1,500万円超 | 5.0% | 3,000時間 | 不動産・商業登記の代理申請、簡裁訴訟代理(140万円以下) |
| 行政書士 | 583.3万円(job tag行政書士、令和7年) | 勤務350万〜450万円/独立400万〜1,000万円超 | 14.5% | 800〜1,000時間 | 官公署に提出する許認可書類の作成・提出代理 |
| 社会保険労務士 | 903.2万円(賃金構造基本統計、令和6年) | 勤務400万〜500万円/独立100万円(初期)〜1,000万円超 | 5.5% | 800時間 | 労働社会保険諸法令の手続き、労働関係紛争代理(ADR) |
| 中小企業診断士 | 903.2万円(賃金構造基本統計、令和6年) | 企業内:手当等/独立500万〜1,500万円超 | 4.0%(1次・2次通算) | 1,000時間 | なし(経営診断・助言の公的資格) |
| 宅地建物取引士 | 660.7万円(住宅・不動産業界平均、令和6年) | 勤務450万〜600万円(歩合含む) | 18.7% | 300〜500時間 | 重要事項説明、契約書への記名 |
| ファイナンシャル・プランナー | 903.0万円(job tag FP、令和6年) | 勤務450万〜600万円/独立300万〜1,000万円 | 1級10.8%/2級19.5% | 1級450〜600時間/2級150時間 | なし(資産設計の相談業務) |
| 土地家屋調査士 | 878.0万円(賃金構造基本統計、令和6年) | 勤務350万〜500万円/独立800万〜1,500万円超 | 10.0% | 1,000時間 | 不動産表示登記の代理、土地・建物の現況調査・測量 |
| 測量士 | 543.1万円(job tag測量技術者、令和7年) | 勤務400万〜500万円/独立300万〜700万円 | 15.0% | 300時間 | 測量法に基づく基本測量・公共測量の計画策定 |

司法書士は学習時間が3,000時間、合格率5.0%と資格の中でも難易度が高い一方、独立後の年収は700万〜1,500万円超と示されています。対照的に測量士は学習時間300時間、合格率15.0%と着手しやすいものの、独立時の年収は300万〜700万円にとどまるとされており、独占業務の範囲の広さが差として表れていると考えられます。
独立後に待ち受ける「年収0円地獄」と賠償リスク
資格を取得しても、独立開業した直後から高収入が得られるとは限りません。独立開業した社労士や行政書士が最初の1〜2年間、年収100万円未満の状態に陥るケースは珍しくないとされています。事務所を構えて依頼を待つだけでは案件は集まらず、SEOやSNSでの発信、商工会議所での人脈づくりといった、実務能力とは別の集客スキルが求められます。

一方で、特定分野に特化して集客を確立した層は、行政書士のビザ申請(1件20万円)や建設業許可申請(1件15万円)のように単価の高い業務を積み上げ、年収1,000万円を超える水準に到達する例もあるとされています。民間の経営コンサルティング業務では1日あたり約9.8万〜11.9万円と、公的業務(1日あたり約3.7万〜4.8万円)より高単価とされ、中小企業診断士でもコンサルティング日数が100日以上の層では年間売上1,000万円超が約34%、2,000万円超が約12%に達するというデータがあります。ただし、これらは特定の条件を満たした層の数字であり、独立すれば同様の結果が得られるとは限りません。
独立系の実務家には、実務上のミスがそのまま経営リスクに直結する面もあります。司法書士が不動産登記の代理において本人確認手続きを怠り、詐欺登記を実行してしまった場合には、数千万円から数億円規模の損害賠償責任を問われた判例が存在します。社労士についても、助成金申請の不備などから顧問契約が解約されれば、月々の顧問報酬という継続収入が失われるリスクがあります。
資格を「掛け算」する考え方——川上・川下のバリューチェーン
複数の士業が関わる業務では、案件の流れを「川上(意思決定・プランニングの段階)」「川中(調整・合意形成の段階)」「川下(登記や実行など独占業務の段階)」に分けて捉えることができます。顧客と最初に接点を持ち方針を示す川上の役割は信頼を得やすい一方、最終的な独占業務である川下を別の事務所に依頼すると、そこで顧客や利益が流出してしまいます。ダブルライセンスの考え方は、この川上から川下までを同じ事務所内で完結させ、顧客の流出を防ぐ点にあるとされています。

「1件の相続」ではどの資格がどこを担うか
相続が発生した場合、財産の内容によって複数の資格が関わります。川上ではFPが遺族のライフプラン設計、中小企業診断士が自社株評価や事業承継計画の策定を担当します。川中では行政書士が戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成、社労士が遺族年金の請求手続きを担当します。そして川下では司法書士が不動産や自社株の登記移転、税理士が相続税の申告を担当します。
行政書士のみで遺産分割協議書まで作成した場合、最終的な相続登記の段階では提携先の司法書士に依頼することになり、そこで顧客情報や利益の一部が外部に流出します。司法書士の資格も併せ持つことで、戸籍収集から登記移転までを同じ事務所内で完結できる点が、司法書士×行政書士の組み合わせの特徴とされています。
「1棟の建築」ではどの資格がどこを担うか
建物を新たに建てる場合も、複数の資格が段階ごとに関わります。川上ではFPが住宅ローンの資金計画、測量士が広域の現況測量を担当します。川中では一級建築士が設計・監理、行政書士が農地転用や開発許可の手続き、土地家屋調査士が境界立会いを担当します。川下では土地家屋調査士が建物表題登記、司法書士が所有権保存登記・抵当権設定登記、宅地建物取引士が販売の仲介・重要事項説明を担当します。
測量士として広域の現況測量を担当したうえで、建物完成後の表題登記まで土地家屋調査士として担当できれば、現況測量から登記までを一括して受任できます。建設会社や不動産デベロッパー側にも外注費の削減という利点があるとされ、この点が測量士×土地家屋調査士の組み合わせの強みとされています。
ダブルライセンスの組み合わせをどう評価するか
調査レポートでは、バリューチェーンの支配力・継続収益への発展性・実務での利益率という観点から、4つの組み合わせを格付けしています。
| 組み合わせ | 構造 | 格付け |
|---|---|---|
| 司法書士×行政書士 | 行政書士が遺産分割協議書の作成などの川中業務を担当し、司法書士が相続登記などの川下業務まで一貫して受任する | S |
| 社会保険労務士×中小企業診断士 | 診断士が経営診断という川上のスポット業務を担当し、社労士が就業規則整備や労務手続きなど川下の継続業務につなげる | S+ |
| 宅地建物取引士×ファイナンシャル・プランナー | FPが資金計画などの川上業務を担当し、宅建士が物件仲介という川下業務につなげる | A |
| 土地家屋調査士×測量士 | 測量士が広域測量という川上業務を担当し、土地家屋調査士が表題登記・境界確定という川下業務につなげる | B+ |

社労士×中小企業診断士がS+と評価されているのは、診断士としての単発コンサルティングを入口に、社労士としての就業規則整備や労務手続きを継続的な顧問契約に結びつけられる点が理由とされています。司法書士×行政書士については、相続や会社設立の場面で戸籍収集から登記までを外部に依頼せず完結できる点がSランクの根拠とされています。ただし、こうした組み合わせが実際に機能するかどうかは、地域の需要や本人の営業力、専門分野の選び方によって差が出るため、格付けがそのまま個々の収入を保証するものではありません。
まとめ
社労士やFPの「年収900万円」という数字は、公的統計の集計区分に高年収層が混在した結果であり、実務に近い年収は社労士(勤務型)で約486万円、FPで400万〜600万円程度とされています(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。独立開業には年収1,000万円を超える可能性がある一方、最初の1〜2年は年収100万円未満に陥るケースもあり、集客力や専門分野の選び方が結果を左右します。資格の組み合わせを検討する際は、川上(顧客との接点・提案)と川下(独占業務による実行)をどう自分の中でつなげられるかという視点が参考になります。ただし、実際の収入や独立の成否は個人の状況によって大きく異なるため、この記事で紹介した数字はあくまで目安としてご参照ください。
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よくある質問
社労士やFPの平均年収が900万円というのは本当ですか?
厚生労働省の統計上の数字ですが、集計区分に高年収の他職種が混在しているため、資格単体の実態を示す数字ではありません。実務に近い年収は社労士(勤務型)で約486万円とされています。
ダブルライセンスを取れば年収は上がりますか?
資格の組み合わせによって業務を一貫して受任しやすくなる面はありますが、実際の収入は集客力や地域、専門分野によって大きく異なり、組み合わせだけで結果が決まるわけではありません。
独立開業した士業は最初から高収入を得られますか?
独立直後の1〜2年は年収100万円未満にとどまるケースもあるとされ、案件獲得のための集客スキルが実務能力とは別に求められます。
次にやること
年収や合格率を把握したら、次は自分の場合の受験コストを具体化する段階です。
- 試験実施団体の公式サイトで、直近の試験日程と受験資格を確認する
- 科目免除の対象になるか(実務経験・他資格の保有)を調べる
- 独学と講座で必要な学習時間がどれだけ変わるか、複数社の資料で比較する
参考にした情報源
うち官公庁・公的機関等の一次資料 12件。数値は各機関の公表時点のものです。
- plus.onecareer.jp
- 社会保険労務士の資格とは 取得方法・試験概要・仕事内容を解説 – 立正大学(ris.ac.jp)
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- 社労士の年収はいくら?勤務先によって異なる年収事情を紹介! | 管理部門(バックオフィス)と士業の求人・転職ならMS-Japan(jmsc.co.jp)
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- 令和5年賃金構造基本統計調査を年収で分析してみた。Part4(ChatGPTでデータ分析) – note(note.com)
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- 土地家屋調査士 – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag) – 厚生労働省(shigoto.mhlw.go.jp)
- 日本標準職業分類と賃金構造基本統計調査の職種の関係(mhlw.go.jp)
- 賃金構造基本統計調査の現行の職種解説 – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
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- 土地家屋調査士の年収・給与 – らくらく求人検索(hw-jobs.careermine.jp)
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本記事は公表資料をもとに作成した一般的な解説です。制度は改正され統計は更新されます。実際の手続き・判断にあたっては所管の官公庁および専門機関の最新情報をご確認ください。詳細は免責事項をご覧ください。
本記事は公的統計等の調査資料を根拠に、AIを利用して作成し、公開前に数値と表現の検査を行っています。作成手順は編集方針とAI生成コンテンツについてに公開しています。最終更新:2026年7月27日


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