この記事の要点
- 有料職業紹介の手数料収入総額は約9,835億円で前年度比17.6%増(出典:厚生労働省)
- コンサルタント一人当たり月間生産性は150万〜200万円が損益分岐点の目安
- 上場企業ではJAC Recruitmentが月213万円、MS-Japanが月210万円前後を開示
- 令和7年4月施行の職業安定法改正で職種別手数料率と離職状況の開示が義務化
- 「平均年収1,145万円」は持株会社本社116名の数値で現場コンサルタントの給与ではない
「人材紹介会社のコンサルタントは、月にいくら売り上げているのか」という疑問に対する結論から述べます。上場している人材紹介各社の決算説明資料を見る限り、コンサルタント一人当たりの月間生産性はおおむね150万〜200万円が損益分岐点の目安とされ、業界トップクラスの企業では200万〜240万円程度の水準に収れんしています。決定単価が数百万円に達するハイクラス案件を扱っていても、この水準を大きく超え続けることは容易ではありません。
この背景には、有料職業紹介市場そのものの拡大があります。厚生労働省の集計によると、有料職業紹介事業者の手数料収入総額は約9,835億円に達し、前年度比17.6%増という高い伸びを示しています(出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書」)。市場が拡大する一方で、令和7年4月には職業安定法に基づく省令・指針が改正され、職種別の手数料率実績や離職状況の開示が義務化されました。これにより、これまでブラックボックスだった収益構造の一部が可視化されつつあります。
この記事では、公的統計と上場企業6社(リクルートホールディングス、パーソルホールディングス、エン・ジャパン、ビジョナル、JACリクルートメント、MS-Japan)のIR開示を比較しながら、人材紹介ビジネスの収益構造と「コンサルタント一人当たり生産性」という指標の実態を整理します。

有料職業紹介市場の規模と手数料相場はどうなっているか
厚生労働省の『職業紹介事業報告書』の集計結果によると、有料職業紹介事業者における手数料収入の総額は約9,835億円(前年度比17.6%増)に達し、うち常用就職に係る手数料収入は約9,136億円(同16.8%増)を占めています(出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書」)。常用就職1件あたりの平均紹介手数料は約103万円から111万円のレンジで推移しており、求人企業の採用意欲の高まりと提示年収の上昇に伴って単価が切り上がっていることがうかがえます。
市場全体が伸びている一方で、手数料率は業界一律ではなく、職種の専門性や需給バランスによって大きく異なります。次の章では、この職種別の違いを具体的な数値で見ていきます。
職種別に見る手数料率と早期離職率の違い
厚生労働省の公表資料に基づく職種別の平均手数料率と早期離職率を整理すると、以下のようになります(出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書」)。
| 職種区分 | 平均手数料率 | 早期離職率 |
|---|---|---|
| 経営・金融・保険の専門的職業 | 34.6% | 2.0% |
| 法人・団体管理職員(管理職) | 33.9% | 4.9% |
| 営業の職業 | 31.2% | 5.4% |
| 情報処理・通信技術者 | 30.0% | 2.9% |
| 保育 | 24.3% | 12.2% |
| 一般事務、秘書、受付 | 24.1% | 14.4% |
| 医師 | 22.0% | 3.0% |
| 看護 | 21.6% | 10.5% |
| 介護 | 20.2% | 15.3% |
経営・金融(34.6%)や管理職(33.9%)、営業(31.2%)、IT技術者(30.0%)は30%を超える手数料率が維持されている一方、医療・福祉領域は医師22.0%、看護21.6%、介護20.2%と20%台前半にとどまります。加えて、早期離職率も経営・金融(2.0%)やIT技術者(2.9%)で低い一方、介護(15.3%)や一般事務(14.4%)、保育(12.2%)では高くなっています。返還金規約(早期離職時に手数料の一定割合を返還する契約)があるため、早期離職率の高さはそのままコンサルタントの実質的な生産性を押し下げる要因になります。

転職による賃金変動:年代で結果がこれほど違う
厚生労働省の『雇用動向調査』によると、常用労働者の入職率は14.8%(前年比1.6ポイント低下)、離職率は14.2%(同1.2ポイント低下)で、全体として入職超過の状態にあります。一般労働者に限ると入職率11.8%、離職率11.5%、パートタイム労働者では入職率22.7%、離職率21.4%と、就業形態によって流動性に差があります(出典:厚生労働省「雇用動向調査」)。
転職に伴う賃金変動を年齢階層別に見ると、次のような差が確認できます(出典:厚生労働省「雇用動向調査」)。
| 年齢階層 | 賃金増加割合 | 1割以上増加 | 賃金減少割合 | 1割以上減少 | 差引(増-減) |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体平均 | 39.4% | 26.7% | 31.5% | 22.0% | +7.9pt |
| 20〜24歳 | 55.5% | 45.9% | 13.1% | 8.1% | +42.4pt |
| 25〜29歳 | 45.9% | 32.5% | 27.2% | 17.7% | +18.7pt |
| 30〜34歳 | 47.0% | 28.5% | 29.5% | 20.0% | +17.5pt |
| 40〜44歳 | 47.7% | 30.2% | 23.5% | 14.0% | +24.2pt |
| 50〜54歳 | 26.5% | 16.1% | 44.7% | 27.8% | -18.2pt |
| 60〜64歳 | 19.5% | 9.6% | 56.3% | 48.8% | -36.8pt |
20代から40代前半までは賃金が増加した割合が減少した割合を大きく上回りますが、50代以降はこの関係が逆転し、50〜54歳では賃金が「減少」した割合が44.7%と「増加」(26.5%)を上回ります。もちろんこれは統計上の傾向であり、個々の転職の結果は職種や経験、交渉次第で変わる点には注意が必要です。人材紹介会社にとっては、成功報酬に連動するこの年代構造をどう踏まえてリソース配分するかが経営上の論点になっています。
令和7年4月施行の職業安定法改正で何が変わったか
職業安定法に基づく省令・指針の改正が令和7年4月1日に施行され、個々の職業紹介事業者に取扱職種ごとの手数料率実績や離職状況等の情報開示が義務付けられました。事業者は厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」で、算定式に基づく職種別平均手数料率を公開・更新する必要があります(出典:厚生労働省)。
これにより、求人企業や求職者は地域・職種ごとの手数料率や年間就職実績、早期離職率を比較できるようになりました。合理的な理由なく高額な手数料を課す事業者や、早期離職率の高い事業者には淘汰の圧力がかかることになり、上場企業にとってもコンサルタントの「質」と「定着支援力」を含めた生産性管理が経営課題として重みを増しています。
コンサルタント一人当たりの生産性はどう計算されるのか
人材紹介ビジネスの標準的な収益モデルは、転職確定時に求職者の想定年収へ一定の手数料率(30〜35%程度)を掛けて求人企業に請求する成功報酬型です。事業の収益性を左右するのは、求職者獲得コスト(CPA)、内定承諾に至る比率(CVR)、そして決定年収です。
具体例として、求職者1人を獲得するCPAが8万円、登録から入社決定に至るCVRが4%の場合、採用1件あたりの獲得コスト(CPH)は200万円(8万円÷0.04)になります。決定年収600万円、手数料率35%であれば、1件あたりの売上(手数料収入)は210万円、そこからCPHの200万円を差し引いた粗利益はわずか10万円という計算になります。

この粗利益から人件費(基本給+インセンティブ)、求職者獲得費用、オフィス等の固定費を回収し、なお利益を生み出すためには、コンサルタント一人当たり月間売上高で150万円〜200万円(年間2,000万〜2,500万円程度)が標準的な損益分岐点・平均水準とされています。事業拡大の手段は、CPAの低減、CVRの向上、決定単価の上昇という3つのレバーにほぼ限られます。
上場6社の非財務KPI開示を比較する
人材紹介事業を営む上場企業の間でも、「コンサルタント一人当たり生産性」の開示姿勢は事業モデルによって大きく分かれます。
| 企業名 | 事業モデル | 生産性KPIの開示状態 |
|---|---|---|
| JAC Recruitment | 専門職・管理職向け(両面型) | 月単位・四半期単位で精緻に開示 |
| MS-Japan | 士業・管理部門特化型 | 過去推移を含め定量開示 |
| ビジョナル(BizReach) | プラットフォーム型 | 自社コンサルタント指標は対象外、ネットワークKPIを開示 |
| エン・ジャパン | 求人メディア+人材紹介 | 個人単位の生産性は非開示 |
| リクルートHD | 複合型・持株会社 | 事業会社レベルは非開示 |
| パーソルHD | 複合型・持株会社 | コンサルタント単位は非開示 |

JAC Recruitmentは決算説明資料で、国内コンサルタント数と一人当たり月間生産性を四半期ごとに公表しています。最新データでは国内コンサルタント数は2,084人(前年比+362人)、月間生産性は通年平均213万円/月、第4四半期単体では234万円/月と報告されています(出典:JAC Recruitment決算説明資料)。MS-Japanも同様に生産性の推移を開示しており、過去10年の最高値は2022年の238万円/月、その後は2023年220万円/月、2024年3月期204万円/月、2024年6月期210万円/月と推移しています(出典:MS-Japan決算説明資料)。同社はこの変動を、採用拡大に伴う未経験コンサルタント比率の上昇による「一時的な希釈化」として説明しています。
一方でビジョナルは、自社でキャリアアドバイザーを抱えるのではなく、求人企業や外部ヘッドハンターと求職者をつなぐプラットフォーム(BizReach)を運営しているため、開示KPIも利用企業数38,100社以上、利用ヘッドハンター数9,700人以上、スカウト可能会員数329万人以上といったネットワーク指標が中心です。BizReach事業の売上高は383億6百万円(前年同期比19.2%増)となっています(出典:ビジョナル決算説明資料)。エン・ジャパンは求職者会員数407万人(前年比+16%)を開示していますが、人材紹介部門のコンサルタント生産性は開示していません。リクルートホールディングスは持株会社本社の従業員116名・平均年収約1,145万円、パーソルホールディングスは本社従業員761名・平均年収約882万円(連結従業員数74,926人)を有価証券報告書に記載していますが、いずれも事業会社レベルのコンサルタント生産性は開示対象外です。
「平均年収1,145万円」やハイクラス高収益の誤解
リクルートホールディングスの有価証券報告書にある平均年収1,145万円という数字を見て、「人材紹介会社の社員は皆それだけもらえる」と誤解されることがありますが、これは持株会社本社116名分の平均給与であり、実際に求職者面談や求人開拓を行う現場コンサルタントは傘下の事業会社に所属し、給与体系も異なります。パーソルホールディングスの882万円も同様に、本社761名の数値にとどまります。

もうひとつ誤解されやすいのが、手数料率の高さとコンサルタント個人の生産性の関係です。決定単価が300万〜500万円に達するハイクラス・経営層向け案件は要件が限定的で、成約に至る頻度は年数件にとどまることも珍しくありません。これに対し、決定単価150万〜200万円程度のミドル層・ITエンジニア向け案件は需要が旺盛で、月1〜2件の決定を安定的に生み出せます。その結果、ハイクラス特化のJAC Recruitmentや管理部門特化のMS-Japanであっても、トップクラスのコンサルタントの月間生産性は200万〜240万円程度の水準に収れんしています。決定単価が高くても頻度が低ければ、月間生産性は平準化されるという構造です。
加えて、ビズリーチは知名度から「大手転職エージェント」の一つと見なされがちですが、自社でキャリアアドバイザーを組織して紹介を行う人材紹介会社ではなく、求職者データベースを外部のヘッドハンターや求人企業に開放するプラットフォームである点も、他の5社と性質が異なる部分です。
まとめ
上場人材紹介会社の「コンサルタント一人当たり生産性」の開示状況は、各社の事業モデルによって明確に分かれています。JAC RecruitmentやMS-Japanのような純粋な職業紹介事業を核とする企業は、月間生産性200万〜230万円程度という水準を重要KPIとして精緻に開示している一方、リクルートホールディングスやパーソルホールディングスのような複合・持株会社型企業では、他事業との混在もあって単一のコンサルタント生産性は見えにくくなっています。ビジョナルのようなプラットフォーム型企業では、指標そのものがネットワーク参加者数へと置き換わっています。
令和7年4月の職業安定法改正により、今後はすべての職業紹介事業者に職種別手数料率や定着・離職状況の公表が求められます。転職を検討する側にとっても、こうした開示情報は紹介会社を比較する材料になり得ますが、実際の年収変動や転職の成否は個々の職種・年齢・タイミングによって大きく異なる点は踏まえておく必要があります。
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よくある質問
人材紹介コンサルタントの月間生産性はいくらが目安ですか。
上場企業の開示によると、損益分岐点の目安は月150万〜200万円で、JAC RecruitmentやMS-Japanなどのトップクラスでは月200万〜240万円程度の水準が報告されています(出典:各社決算説明資料)。
「平均年収1,145万円」は人材紹介会社の社員全員の給与ですか。
いいえ。これはリクルートホールディングスの有価証券報告書に記載された持株会社本社116名分の平均給与で、現場のコンサルタントは別の事業会社に所属し給与体系も異なります。
令和7年の職業安定法改正で何が変わりましたか。
令和7年4月1日施行の改正により、職業紹介事業者に職種別の平均手数料率実績や早期離職状況の開示が義務付けられ、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で公開されるようになりました。
ハイクラス転職の紹介手数料率は本当に高いのですか。
経営・金融や管理職では手数料率が33〜35%程度と高い一方、決定頻度が低いため、コンサルタント個人の月間生産性はミドル層中心の案件と同程度の水準に収れんする傾向が報告されています。
次にやること
業界の構造を理解したうえで、自分の条件が相場のどこにあるかを確認します。
- 賃金構造基本統計調査で、自分の職種・年齢・地域の水準を確認する
- 現職の労働条件通知書で、割増賃金や手当の計算根拠を確かめる
- 相場観は1社の提示額ではなく、複数の求人情報で確認する
参考にした情報源
うち官公庁・公的機関等の一次資料 6件。数値は各機関の公表時点のものです。
- 令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報) – 株式会社インプレッション(impr.co.jp)
- 令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報) – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 日本医師会・四病院団体協議会 有料職業紹介事業に関するワーキンググループ報告書 ~医療分(med.or.jp)
- 【令和6年「雇用動向調査」の調査結果を公表しました ~入職率、離職率は低下、入職超過率は縮小、転職入職者の賃金は、前職と比べて「増加」した割合が上昇~】 – 宮城県仙台市の行政書士・特定社会保険労務士 へんみ事務所(henmi-adm.jp)
- 3 転職入職者の賃金変動状況(mhlw.go.jp)
- 紹介手数料率の実績の公開と違約金規約の明示が必要になります(mhlw.go.jp)
- 職業紹介事業における職種別手数料、離職状況についての資料を公表(厚労省)(kaiketsu-j.com)
- 人材紹介の求職者集客に「リスティング広告」を利用した際のCVR/CPA目安を解説(platform.zcareer.com)
- 採用CPA相場を職種別に比較|計算方法と費用を抑える7つの施策【2026年版】(buddy-data.co.jp)
- [JAC 2124.T] 2025年12月期 決算説明資料 – BigGo ファイナンス(finance.biggo.jp)
- 2025年12月期 決算説明資料(data.swcms.net)
- 上場人材会社 上期決算発表 – 株式会社インプレッション(impr.co.jp)
- 【表紙】 – Visionalグループ(visional.inc)
- 2025年3月期第2四半期 決算説明資料 – エン・ジャパン(corp.en-japan.com)
- 2026年12月期 第1四半期決算説明資料(finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp)
- リクルートの将来性|利益6割を稼ぐHRテックの強みとリスク(choosenic.com)
- パーソルの将来性|AI起点で利益成長エンジン3本化の強みとリスク(choosenic.com)
- 転職者の離職理由と賃金の変動状況~厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」より(harmony-office.com)
- -令和6年雇用動向調査結果の概況- – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- ― 令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況 ― – 厚生労働省(mhlw.go.jp)
- 2024年12月期 – 決算説明資料(data.swcms.net)
- 【2026年最新】CPA(顧客獲得単価)の計算方法とは?計算式・業界別平均7選・改善方法まで完全解説 | ヒアリングDXブログ – Interviewz(interviewz.io)
- CPAとは?広告に重要なマーケティングに活用できるメリットから、計算式までを解説(adsales.rakuten.co.jp)
- 顧客獲得単価(CPA)の業界別相場は?すぐできるCPAの改善も解説 – LeadGrid(goleadgrid.com)
- CPA(顧客獲得単価)とは?相場金額や設定方法、改善方法をご紹介 – クロス・マーケティング(cross-m.co.jp)
- 顧客獲得単価(CPA)計算から予算配分まで完全解説 – ミニナレ [web制作会社シスコム](gohp.jp)
本記事に掲載する年収・待遇等は公表統計に基づく一般的な水準であり、個別の求人条件を保証するものではありません。
本記事は公表資料をもとに作成した一般的な解説です。制度は改正され統計は更新されます。実際の手続き・判断にあたっては所管の官公庁および専門機関の最新情報をご確認ください。詳細は免責事項をご覧ください。
本記事は公的統計等の調査資料を根拠に、AIを利用して作成し、公開前に数値と表現の検査を行っています。作成手順は編集方針とAI生成コンテンツについてに公開しています。最終更新:2026年7月27日


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